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fragmentasについて

2015.10.15|

frag151014

長い間、リトアニアのあちこちを旅してきました。
初めて旅をしたのは、2007年の6月、これから本格的な夏に向かっていくとても美しい季節で日曜日でした。夜10時に近い頃だったと思いますが、空はまだまだ日が暮れる気配もなく青く明るいのに、すれ違う街の人は少なく静かで、寂しいのにそれがかえって心地いいような、不思議な気持ちになったことを今でもよく覚えています。

それから8年の歳月が経ち、たくさんの手しごとに触れ、訪れる数だけ知り合った友人や小さな思い出の数が増えていきました。

お祭りや街中で手にしたかごや陶器、木工品。次から次へと出会いを重ね、それらについて「これを作っている人はどんな風に暮らしているんだろう?」と想像すること。それが、私が旅を続けてきたひとつの理由でした。「誰が、どこで、どんな風に?」というなぞを解きに、これまで幾つもの街や村を訪ね、旅を重ねてきました。

早朝、薄暗いなか電車とバスで出かけた遠い町や村、乗り換え駅で優しくしてくれたおばあさんのこと、コーヒースタンドで買い求めた静かに湯気立つコーヒーの甘い味。少しずつリトアニア語がわかるようになってきて、ものと暮らしの結びつきを知り、言葉と文化の結びつきを知り、リトアニアの人々の大らかで温かい心を知りました。

そして8年が経ったいま、改めて見渡してみると、たくさんの手仕事とそれにまつわる旅の記憶が自分のなかに「かけら」として大切に残っていることを再認識しました。

途絶えゆくことも想像せざるを得ないような手仕事も含め、今、手元にある手仕事とそれに携わる人々のこと、旅の記憶をもっとたくさんの人に伝えたい。埋もれさせることなく、伝える場所を作りたい。作り手と使い手をつなぐ仕事をしていきたい。それが、このお店「fragmentas」を作ったきっかけの気持ちです。

「fragmentas」はリトアニア語で「かけら」という意味です。リトアニアに暮らす人々の、温かな人柄と暮らし、リトアニアの風土から生まれた暮らしの手仕事を紹介してまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。