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Laiškas iš Lithuania #24-08

2015.11.01|

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さて、先日の続きのリトアニアからの手紙です。
食事を終えたあとは、ゲディミナスさんのアトリエへ。近年、エリカスさんと共に、リトアニアの古い暮らしの道具を再現する試みを続けているふたり。今日ゲディミナスさんは、最近出来上がったばかりの昔のアイロンを嬉しそうに見せてくれました。博物館に展示されていた飾り彫りの再現がされていて、リトアニアで愛されている幾何学模様が一面彫り込まれたそれは、ため息がこぼれそうな美しいものでした。カジューカスのお祭りまでに2つ作ってもらうことにして、1つは私が使ってみようと思っています。ずーっと使い続けたらどのような変化を見せてくれるのか、それが楽しみです。

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小さな博物館のように古い暮らしの道具が並んだゲディミナスさんのアトリエ。ここで、ゲディミナスさんがカップを彫っているところを見せてもらったり、リタさんが鳥笛を彫っているのを見せてもらったり……。カッティングボードや木工彫刻の作品をつくる際の道具は、どれもきちんと壁面や机上に並べられて、丁寧な手仕事の裏側を見せてもらったように感じました。

ひとつひとつが「こんな風に作られているんだなぁ……」と知ることはいつでも新鮮で楽しい瞬間で、写真を撮るのを忘れそうになるほど興奮した時間。帰りにたっぷりと用意してもらっていたカッティングボードと飾り彫りの木の匙、エリカスさんに作ってもらった小鳥のボウルを6羽分、バックパックに詰め込んで……いろんな意味でぎゅうぎゅう詰めの一日です。

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バスの時刻を待ちながら、最後にみんなでお茶を。コーヒーとお茶、どちらがいい?と尋ねてくれたリタさんに「Arbata prasom(お茶をお願いします)」と答えました。リタさんは、本当は最初お店で買ってきてくれたフルーツティーを淹れてくれたのですが、お願いして自家製のお茶も頂きました。「こんないつも飲んでいるのでいいの?」と恥ずかしそうな感じで出してくださったお茶からは、今までに感じたことのないフルーティーな味わい……これ、この味、なんだろう?知っているけど出てこない……と思って尋ねたら、その味の正体は「野いちご」!でした。事情を説明してリタさんからも分けていただきましたが、枝に付いたままの小さな野いちごの姿は可憐で愛らしくて、夏の太陽の恵みがぎゅっと詰まっているのを感じられるよう。リタさんのおすすめのブレンドは「LIEPA(セイヨウシナノキ)とZEMUOGE(野いちご)」だそう。この日私が頂いて一口で気に入ったのも、このブレンドのお茶でした。

LIEPA/セイヨウシナノキといえば、夏におじゃましたアレさんとシギタスさんのお家の庭先に大きなLIEPAが植わっていて、アレさんが「この葉と淡黄色の小さな花もお茶にするのよ」とまだ若い花を摘んでみせてくれたのを覚えています。アレさんとシギタスさんはお茶以外にもこのLIEPAをかご作りにまつわる特別なあることに使っているのですが、ふたり曰く「誰も知らない、でも僕たちは知っている、これはひみつなんだ」とにこにこしていました。そんなことを、頂いたLIEPAの乾いた葉や花々を手に思い出しました。

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……さて、お茶の話を一通りするうちに、やがて帰りのバスの時刻が近づいてきました。薄明かりの空に小さな家々の煙突から夕食の支度をする煙がいくつも筋になって昇っていくなか、バス停に向かいました。ゲディミナスさんとリタさんご夫婦、そしてエリカスさんとももうお別れです。バスを待ちながら、次はいつくるの?とかこんなものを作って待っているねとか。そんな話をして、別れ際に「iki pasymatimo, iki kitametu/さようなら、また来年」とぎゅーっと抱きしめてもらって、リトアニア人夫婦と小さなアジア人の謎の組み合わせに不思議そうな顔をしている乗客のなかバスに乗り込みました。着いたとき、太陽の光を反射して輝いていた湖の水面は濃い紫色と茜色に包まれて、美しい晩秋の夕暮れを眺めながら、美しい村を後にしました。